昨年ベートーヴェンソナタの演奏記録
去年の12月に演奏したベートーヴェンのソナタ3番の動画を
編集ついでにYouTubeにアップしました。
映像と音源のズレの調整と、多少の字幕追加、
音源は、音量とイコライザー調整に、若干リヴァーブを加えて、会場の空間に近づけました。
今回の演奏に際しては、楽器のセッティングも考慮しました。
ベートーヴェンのソナタの書かれた時期の範囲のうち、
今回のop.12はまだ18世紀終わりなので、
数あるクラシカル弓のうち、自分の好みを含めて
1780年代のエドワード・ドッド(Edward Dodd)のモデルを使用しました。
こちらは、ドイツの製作家に何人かコンタクトを取り、
そのうちメールをしていて、自分と性格が合い、条件と一番合った
Bernhard Ritschard氏に依頼をしたものです。
http://www.historical-instruments.com
彼とのメッセージでは、製作の進捗状況や素材の選択の相談、関税の情報から、家族についてなどの雑談など、仕事の姿勢と人柄を思わせるやりとりを終始することができました。
コロナが落ち着いたら、リューベックまで足を運んで会いに行きたい人物です。
楽器のセッティングについては、
弦をA線とE線をプレーンガット、
DとGはいつも通りオイドクサのリジットにしました。
当時の演奏スタイルに合わせて、肩当て顎当ては外しました。
演奏の解釈は、ベートーヴェンと出版者の関係を踏まえて、手稿以上に初版の譜面を重点としました。
語法については、モーツァルトを起点とし、
初期ベートーヴェンのボン時代の譜面の書き方から、
後期の間のそれの変化を予測して設定しました。
具体的には、ディナーミクの変化の扱い、トリルの扱い、
譜面上に書かれた、本来は装飾であった音型の洗い出しと
旋律との比重の差をつけるなど。
また、参考にその他の作曲家の譜面を参考にしました。
例えば、少し離れた関係では、サン=サーンスの初期の手書き譜や
それに関してサラサーテの演奏方法を考慮の範囲に収めました。
一方で、頭のどこかでは、まもなく現れるパガニーニがいます。
おそらく、ピアノとの演奏の差や聴いた方それぞれに、
賛否を含めていろいろ意見がある結果ではあると思いますが、
個人的に、まずこの守りの時期にやりたいことを
時間が許す限り、妥協なく実験できた点で、
とても有意義な演奏をすることができたと思います。
自分の今後の演奏スタイルやにも、大きい可能性を
見つけることができました。